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050 判断と選択の違い

●真偽を判断し、善悪を選択する

実務的な意思決定については、その名も『すぐれた意思決定』という、すぐれた本があります。副題の「判断と選択の心理学」が示すように、意思決定は判断と選択という2つのステップに大別されています。「はじめに」で、その違いが分かりやすく説明されています(1)

『朝起きて曇り空をみれば、天気予報の結果とあわせて、雨が降りそうかどうか考え(判断)、傘を持って行くか否か(選択)を決めている。』

紀元前4世紀の哲学者アリストテレスの『ニコマコス倫理学』にも、判断と選択の違いについて印象的な一文がありました(2)

『判断は偽と真によって区分され、悪と善によっては区分されない。だが、選択は、むしろ、悪と善によって区分される。』

われわれは、ともすると「真であると判断できるものが善なのだから、それを選択すればいいに決まっている」と短絡的に考えがちです。しかし、マネジャーが直面するのは、そうシンプルなケースばかりではありません。

たとえば、真偽が判断しづらいケースがあります。ある事業を始めるべきか否か、明確に判断できるケースは少ないでしょう。始めるのもやめておくのも同じくらい真だと判断されるとき、どのようにして選択すればよいのでしょうか。

どちらが、より「善」かを考えなくてはなりません。どちらが自分にとって、自分が率いる組織にとって、そして自分が属する組織にとって「善」といえる選択なのか。これを突き詰めていくと、組織の価値観に突き当たります。「よい判断」をするためのスキルは、マネジャー個々人の努力で高めることができます。しかし「よい選択」をするために必要な組織の価値観は、組織として定義されるべきものです。それを理解し、共感できて初めて、現場で「よい選択」に挑む準備ができたといえるでしょう。

●判断は思考、選択は行動

判断と選択の違いについて、アリストテレスはこうも書いています(2)

『選択するのはそのようなもの〔善、または、悪〕のうちのどれかを「取るか、避けるか」についてであるが、判断するのは、そのようなものが「何であるのか」「誰のために役に立つのか」「どのようにして役に立つのか」についてなのである。』

やや踏み込んで定義すれば、判断は思考の産物ですが、選択は行動によって表現されます。意思決定者としてのマネジャーの責任の重みは、明らかに選択にあるでしょう。仕事を抱え込みがちだと自覚しているマネジャーは「判断に関わる作業は部下にゆずり、よい選択をするための準備に焦点を当てる」という観点で仕事の仕分けをしてみてはどうでしょうか。


(1) 印南 一路 『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学』(中央公論社、1997年)

(2) アリストテレス (著)、加藤 信朗 (翻訳) 『アリストテレス全集13 ニコマコス倫理学』(岩波書店、1988年)

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