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080 “LJ”に聞いてみる

●自分に相談する

自分の問題や、考えたいこと、伝えたいことを再定義する。つまり、他者の視点から、あるいは一段深いところから、言い直してみる。こんなシンプルな作業の奥深さ・難しさに、いつも驚かされます。
当初はビジネスの成果の問題であったものが、実は人間関係の問題であったり、時間管理の問題であったものが、実は自分に対する自信(の喪失)の問題であったりします。
最初にパッと思いつく問題と、再定義を重ねてたどりつく根本的な問題(以下、真の問題と呼びます)が同じであることは、まずありません。

どうも人間には真の問題を避けて認知してしまう傾向があるようです。真の問題というのは当事者にとって心底不快なものが多く、無意識のうちに思考から閉め出されてしまっても不思議ではありません。

真の問題を探す必要性があるのは個人でも組織でも同じですが、今回は個人の問題に絞ります。また真の問題にたどり着くための方法として他者に相談するか、自分に相談するかの2つに大別できるなかで、ここでは自分に相談するアプローチについて考えます。マネジャーの意志決定の中には、他人と相談しづらいものも多く、そんな問題についてはひとりで熟考せざるをえません。

自分に相談するとは、自分の頭で考え抜くことにほかなりません。問題を「問い」のかたちで明文化してみる、問題意識のおもむくところを付せんに書き出してから構造化してみる、目的に立ち戻って再定義してみる……。さまざまな手法があり、それぞれに試す価値があります。

文字どおりの意味で「自分に相談する」アプローチもあります。わたしのお気に入りは「賢く、かつ忙しい知人に宛てて相談メールを書く」という方法です(1)

この方法では、実際にメールソフトを立ち上げて、メールとして書くことが重要です。相手の貴重な時間を損ねないよう、件名からして気を遣います。本文でも、愚痴ばかりいうわけにはいきませんので、客観的な状況説明をしてから自分の問題認識を簡潔に述べ、さらにこれまでの取り組みをまとめ、要するに何を相談したいのか……といったことを考え抜きます。すると不思議なことに、そういった作業の過程でシンプルな解決策が見つかったり、人に相談するほど大きな問題ではないように思えた(自分の感情が問題を肥大化させていたことに気づいた)り、あるいは問題意識そのものがシフトしたりすることが、よくあります。

これはわたしにとってはとても有効な方法ですが、ひとつ難点があります。それは、精神的にも時間的にもハードルが高いこと。本気になればなるほど気後れしてしまい、メールがなかなか書き出せないこともあります。

●“LJ”に聞いてみる

上記の難点を補うエクササイズのヒントを、10年ぶりに読んだ『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』という本で見つけました(2)。これは創造性開発のワークショップを主宰している著者による、創造性を開発する(取り戻す)ためのガイドブックです。訳出されたのは2001年ですが、今でもブログなどでときどき見かけます。この分野のロングセラーといってよいでしょう。

著者は「モーニング・ページ」というエクササイズをすすめています。とにかく心に浮かんだことを何でも書きとめていくだけですが、続けていくことで、心を落ち着かせたり、自分の創造性の発露を妨げているものが見えてくるといった様々な効力を発揮するそうです。

10年前も、今回も、モーニング・ページを実践したわけではないのですが、今回は次のような文を見つけ、試してみたくなりました。

自分でどうしていいかわからないつらい状況や問題に出くわし、行き詰まったとき、私はモーニング・ページに向かい、導きを求める。自分のイニシャル「LJ」(Little Julie)を書いて、質問を投げかけるのだ。それから答えに耳を傾け、書きとめる。

この“Little”という形容詞が効いている、と感じました。先述のエクササイズでは「賢く、かつ忙しい知人」が相談相手です。もちろんそれこそが自分に考えさせるための仕掛けなのですが、テーマによっては、書くこと自体が難しく感じられてしまいます。
一方、"Little(な自分)"に相談するということは、昔の自分、いっそ子ども時代の自分に相談するというイメージでしょうか。そうであれば、なんの気兼ねもいりません。

このニュアンスをうまく採り入れたエクササイズを作ってみたいと思い、“LJ”に相当する日本語の呼称を考えてみました。

わたしであれば小堀内あるいは子堀内というところでしょうが、どうもしっくりきません。「小」からは「小人閑居して不善を為す」といった言葉が連想されてしまい、相談する気になれませんでした。「子」では、自分の子どもを思い浮かべてしまいます。「内なる自分」「内なる堀内」では、なんとなく気恥ずかしくて、やはり相談する気になれません。

試行錯誤の末、“LJ”がよさそうに思えました。“Little Julie”ではなく、“LittleなJibun”です。ばかばかしい略語ではありますが、LJという言葉からは何も連想しないため、そのぶん相談しやすいように感じています。


(1) Merlin Mann "Solve problems by writing a note to yourself" (43 Folders) より。田口 元「メールを使った問題解決手法」 (IDEA*IDEA) 経由で知りました。

(2) ジュリア・キャメロン『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』( サンマーク出版、2001年)

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