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105 アンドルー・テスト

 アンドルーがダグおじさんの家を訪ねてきている。ダグが電話に出ていると、アンドルーがダグのズボンをひっぱってこう言う。
「ねえダグおじさん、ぼく外に出たい」
「いまはだめだよ、アンドルー、おじさんは電話中だから」
「でもダグおじさん、ぼく外に出たい!」
「いまはだめなんだよ、アンドルー!」
「だって外に出たいんだ!」
おなじやりとりが何度かくりかえされたあと、ダグは別の方法を試してみる。

「               」

「うん」
アンドルーは言う。そしてそれ以上何も言わずに離れていくと、ひとりで遊びはじめる。
(『言いにくいことをうまく伝える会話術』より。一部編集しています)

いったい、ダグは何と言ったのでしょうか。

この部分を読んで、部下の扱いに手を焼いていると語ったマネジャーを思い出しました。ある部下が相談に来てくれるのはよいが、話がとても長いそうなのです。彼はダグと違って無下に断わるようなことはせず、時間をとって相談に乗ってあげます。しかししばらくすると、部下はまた同じような相談を抱えてやってくるのです。部下の環境整備がマネジャーの仕事と思ってできるだけのことはしてきたが、もううんざりしている、ということでした。

その方の特徴的な話しぶりから、何が起きているかが想像できるような気がしました。彼の話の焦点は部下の抱える問題にあり、部下そのものにはないのです。分析めいた表現になってしまいますが、問題解決志向が高い反面、共感性が低いのです。

部下は「成果こそ上がらなかったが、成果に向けて自分が努力を重ねたことを理解してほしい」と思って話をしに来ているのに、上司は「君が成果をあげられなかった原因はこれで、解決するためにはこうすればいい」と打ち返してしまっている様子がうかがえました。その場に立ち会ったわけではないので、わたしの想像にすぎませんが……。

もちろん部下の問題解決を支援することはマネジャーの職務です。ただ、部下にとって必要なのは、解決策ばかりではありません。むしろ解決策よりも必要なものがあり、それなくして解決策が与えられたのでは、部下は意欲を失いかねません。

「なあ、アンドルー、ほんとうに外に出たいんだね」

ダグはそう言いました。アンドルーはその言葉を聞いて、ダグおじさんの電話が終わるまでひとりで遊ぶことにしました。つまり、自分で解決策を見いだしたのです。

もしダグがこの一言なしに解決策を与えたらどうなるか。セリフを入れ替えて再生してみましょう。

「だって外に出たいんだ!」

「電話が終わるまでひとりで遊んでいなさい!!」

「うん」
アンドルーは言う。そしてそれ以上何も言わずに離れていくと、ひとりで遊びはじめる。

アンドルーの行動は、表面的には同じでも、「何も言わずに離れていく」ときの気持ちは、だいぶ違っているでしょう。くだんの部下もダグの一言を、つまり受容と共感の一言を、求めていたのではないでしょうか。それが与えられないので、何度もマネジャーのもとを訪れていたのではないでしょうか。

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