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000 はじめに

「難しい決断」がマネジャーの仕事

 我々は、「決める」のが難しい状況にしばしば遭遇します。とりわけ、あなたが「マネジャー」といわれる職位で仕事をしているのであれば、毎日決めることの難しさを感じているかもしれません。しかし、この「難しい決断」をすることこそが、マネジャーという職位の定義でもありますから、避けるわけにはいきません。

 「難しい決断」こそがマネジャーの仕事である。これは当連載の前提なので、すこし丁寧に考えてみます。

 ビジネスは、本質的に「仕事の定型化」を志向します。なぜなら、非定型的な仕事を定型的な仕事にしていく(ルーチン化する)ことで生産性の向上が見込め、それを他社よりも速く、大規模に行い続けることで競争優位が保てるからです。

 「定型化」といっても、肉体労働を機械に置き換えたり、単純な情報処理をコンピュータに置き換えたりすることばかりではありません。そういった意味での定型化を「自動化」と呼ぶとすれば、我々は「マニュアル化」「仕組み化」と呼ぶべき、さらに踏み込んだ定型化を行ってきました。
 「マニュアル化」とは、たとえ自動化できない/すべきでない仕事であっても、それがマニュアルに落とし込めるならば、国内外を問わずアウトソーシングしていくということ。コールセンターのような対人業務が代表です。「仕組み化」とは、断片的な仕事だけでなくビジネスの仕組みそのものをパッケージすること。例えばフランチャイズは、集客・仕入れ・店舗運営といった店舗の経営に必要な仕組みをまるごとパッケージしています。

 では、マネジャーに残される仕事は何か。ざっくり言えば、定型化できない部分を「何とかする」ことです(英語の"manage"は、まさに「何とかやりくりする」という意味を持っています)。

 新しい(非定型な)仕事を定型的な仕事に落とし込んでいく、あるいはどうしても定型化できない仕事にその場で対応する。前例のない状況に挑み、曖昧とした状況を切り分け、矛盾した状況に折り合いを付けていく。そういったことがマネジャーの仕事であるならば、楽な(結果が見えている)決断はひとつもありません。「難しい決断」こそがマネジャーの仕事であるとした所以です。

 したがって、もし現在の仕事で「難しい決断」を迫られていないというのであれば、それは定型化された仕事をしているか、非定型的な仕事だが自分なりの決断のロジックができあがっているか、どちらかでしょう。前者であれば、今の仕事は部下に譲るべきです。後者であっても、その決断のロジックを含めて他者と共有可能な知識にする、つまり定型化していくべきです。

意志決定のヒントを求めて

 我々は生活する個人として、結婚・出産・転職・起業・移住・病気といった大きなイベントを迎えます。能動的に事を起こす場合もあれば、受動的に降ってわいた事態に対処せざるを得ない場合もあります。どちらにせよ、何らかの決断をしていかなければなりません。
 我々の多くはまた組織人として、仕事上の決断をしなければなりません。とりわけ、マネジャーや経営者は、職務として「難しい決断」を敢えて行うことを求められています。

 こういった「決断」に関わるテーマは「意思決定」と呼ばれます。経営学、心理学、脳科学、経済学といった分野にまたがる学際的なテーマです。
 わたしは、何をどうやって考えることが「よい意志決定」につながるのかというテーマに興味を持ち、現在の企業を設立しました。この連載では、これまでに得た知見やわたしなりの考えをご紹介していきたいと思います。皆さんの日々の仕事での、そして生活での、意志決定のヒントになれば幸いです。

※「意思決定」が一般的ですが、「意志決定」という表記もほぼ同義に使われています。敢えて比べれば、「意思決定」には「客観的に妥当な決断」というニュアンスがあると感じます。これはこの言葉がオペレーションズ・リサーチや経営学で使われているためでしょう。ここでは、「客観的にはどちらとも言えない状況でも、敢えて決めていく」「後悔の少なさといった主観的な要素も決断の良し悪しに含まれる」といった意味合いをより強く出したいので、「意志決定」という言葉を使っていきます。
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