●リーダーシップのセルフチェック
知人の紹介で、おもしろい記事を読みました(1)。すこし翻案してご紹介します。
リーダーシップに関するセルフチェックです。次のリーダーの3条件に当てはまる度合いを、5点満点で自己評価してみてください。
「自信を持ってそう思う」が5点、「まあそう思う」が3点、「そうは思わない」を1点とします。
- 自分には先見の明がある
- 自分は雄弁である
- 自分は創造性が豊かである
いかがでしたでしょうか。
実はこれらは「消耗型リーダー」(組織の知力や可能性を枯渇させてしまう人)の条件として紹介されていたリストです。記事は
「よかれと思ってしたことが、チームを萎縮させていないだろうか。自分が他者に抑圧的な影響を与えていることに気づいていないリーダーは多い」
と始まり、消耗型リーダーの兆候として上の三つを挙げていました。
記事の本来の趣旨を踏まえてセルフチェックを作り直すと、次のようになります。再度試してみてください。
「その通りといわざるを得ない」が5点、「そうかもしれない」が3点、「まったくそうは思わない」が1点です。
- 「自分には先見の明がある」と信じるリーダーは、自信を持って道を示す。それが部下の自発的なチャレンジや、失敗から学ぶ機会を奪っているかもしれない。
- 「自分は雄弁である」と信じるリーダーは、情熱を傾けて語る。それが部下を圧倒し、醒めさせて(あるいは萎えさせて)いるかもしれない。
- 「自分は創造性が豊かである」と信じるリーダーは、次々にアイディアを打ち出す。それが部下を振り回し、疲弊させているかもしれない。
いかがでしたでしょうか。セルフチェック1の点数>セルフチェック2の点数となった方は、さらに次のセルフチェックに取り組んでみてください。
- この結果から、自分が望ましいリーダーシップを発揮していることが分かった。
- 自分に甘いのかもしれない。
1を選んだ方。その通りかもしれませんが、もしかしたら重症な「消耗型リーダー・無意識タイプ」の可能性もあります。他者評価を含めた組織風土の診断を検討してみてはいかがでしょうか。
●リーダーの能力は組織の能力で測られる
内省のためであれば、セルフチェック1での自己評価をそのままセルフチェック2の評価として読むべきでしょうね。自己評価が高い項目ほど、消耗型リーダーとしてふるまっているリスクも高いものと考えられます。
冒頭のリストにハッとさせられるのは、それが良いリーダーの条件でもあると思えるからです。先見の明・雄弁さ・創造性はどれも、意志を定めて合意を形成していくマネジャーにとって望ましい能力でしょう。しかしそれらを発揮すればするほど、部下の先見の明・雄弁さ・創造性を損ねていくリスクをはらんでいることを、上のセルフチェックは分かりやすいかたちで気づかせてくれます。
セルフチェックの落とし穴は「自分には」という言葉にありました。望ましい能力を「自分の」能力ではなく「組織の」能力として発揮していけるような工夫が、マネジャーには求められているのです。
(1) リズ・ワイズマン他、『組織の知力を引き出すリーダーの条件』、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 2010年12月号