ある会社で、どうも仕事がうまく回っていないという問題がありました。とくにチームリーダー(以下TL)と呼ばれる、いわゆる現場の責任者と、複数のチームを束ねるマネジャーの連携がよくないとのことでした。
職位ごとの役割は定義されています。ただ、実際の仕事がどう分担されているかは別の話です。
そこで短いケーススタディを4つほど作成し、自分ならどうするかを考えてもらいました。
ポイントは、同じケーススタディを、チームリーダーとマネジャーそれぞれ別個にやってもらうこと。もし自分の役割と他の職位の役割についての認識が互いに合っていたら、両者の描く問題解決のプロセスは似通ったものになるはずです。
あらかじめ個別に考えてもらったうえで、チームリーダーとマネジャー、それぞれ別の時間に集まってもらいました。弊社がファシリテーターを務め、皆の考えを聞きながらまとめていきます。
このときの議論は大変興味深いものでした。総じていえば、マネジャーは「マネジャーらしく」考えていました。目下の問題に対処するだけでなく、再発を防止するには、そもそも問題を生じさせないためにはどうするかといった視点で話し合ったり、チームリーダーやメンバーの負担に対する配慮もありました。
チームリーダーの皆さんも、責任感の強い方々ばかりだったのですが、マネジャーが期待しているような問題の報告や相談といった行動をほとんど取らないのです。「相談したって無駄」という反応の根底に、それまでの経緯から来るマネジャーへの不信や反発のようなものを感じました。
マネジャーは現場からの報告がなければ問題が起きていることがわかりません。この不信を取り除くことがわたしたちの目標になりました。