●原因分析が問題の原因を増幅してしまう
私の場合でいえば、気分が落ち込む原因を分析することこそが、落ち込む原因になっていた。
ビル・オハンロン 『考え方と生き方を変える10の法則―原因分析より解決志向が成功を呼ぶ 』
合理的な問題解決のプロセスは、大まかにいえば「問題(結果) → 原因 → 解決策」というステップからなっています。問題の原因を探し、その原因を解消するための手段を考えます。
しかし、問題の種類によっては、上で引用したように「原因分析が問題の原因を増幅してしまう」ような悪循環があり得ます。とくに心の問題はそうなりやすいかもしれません。著者は自分自身の経験をユーモラスにつづっています。
本を読めば読むほど、どんどん気持ちが落ち込んだ。自分がいかにだめな人間かを思い知らされたのだ。わたしはたぶん重度の「臨床的うつ病」で、きっと生まれながらに脳機能に障害があるのだ。もしかしたら薬物治療が必要なのかもしれない。それに子供のころに性的虐待を受けた経験があるから、本によると、最低でも数年はセラピーを受けたほうがいいらしい。それには時間とお金と、それに”虐待についての抑圧された記憶や感情と向きあう”ためのエネルギーも必要になるだろう。薬物治療やつらいセラピーを何年も受けたいのかどうかは自分でもよくわからなかったが、それだけの金銭的余裕がないことだけはわかっていた。これでは気分が落ち込むのも当然だ!
同上
問題が生じる。
解決のために原因を分析しはじめる。
すると、その原因分析が原因となって問題が深く大きくなってしまう。
こんなケースには、どう立ち向かえばよいのでしょうか。
●解決志向型の質問で困った状況を打開する
著者の考えをわたしなりに解釈すれば、
「問題 → 原因 → 解決策」の原因の部分をブラックボックス化して
「問題 → ■■ → 解決策」のように考えてみるということになると思います。
■■の箱は、開くと問題に戻ってしまうので、開かない。問題が解決された状態から考え下ろしてみて、うまくいきそうな解決策を試す。著者は、下のような問いかけを勧めています。
- この困った状況についてわたしはなにを見聞きでき(事実の確認)、その事実からどんな結論(あらすじ、判断、批評)を導きだせるか?
- この問題をなんとか切り抜けなければいけないとしたら、そこから得るものはなに?
- 望ましい結果を得るためにすべきことは?
- 望ましい結果を得るためならやめてもいいと思えることは?
- これはほんとうにわたしが心血をそそぎたいものだろうか? もし違うとしたらどこに目を向けたらいい?
- この問題についていまわたしにできることはある?あるとしたら、まず最初にやるべきことは?もしできることがないなら、現状を変えられないことにどうやって折り合いをつければいい?
- この困った状況のなかでうれしかった瞬間や場面は?
- 以前にこれと同じような状況をうまく切り抜けたときはなにをした?
困った状況を打開する、解決志向型の質問例 – *ListFreak
上記のリストは個人的な問題のために作られていますので、プロジェクトの問題解決などのためには翻訳が必要です。とはいえ、マネジャーには有益な示唆を与えてくれるでしょう。