コーチングは、会話ベースでの問題解決支援という意味ではファシリテーションと同じですが、必ずしも合意形成や問題解決を目的としません。大まかに言って、ファシリテーションの主語が「我々」だとしたらコーチングの主語は「あなた」です。仕事においてはメンバーとの 1 on 1 など、他者の相談に乗る際に発揮し得るスキルです。
コーチングという概念がビジネスパーソンにとって一般的になる以前から知られている GROW モデルを見てみましょう。
ジョセフ・オコナー、アンドレア・ラゲス 『コーチングのすべて――その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで』 (英治出版、2012年)他
- Goal ― 目標を明確にする
- Reality ― 現実を把握する
- Options ― 選択肢を創り出す / Obstacles ― 障害を特定する
- Will ― 意思を固める / Way Forward ― 次の一歩を決める
GROW – コーチングの4ステップ – *ListFreak
やはり問題解決の流れがベースにあるので、図1のように Solvent の4マスで視覚的に俯瞰できることがわかります。
誰かの相談に乗るとき、相手の話の流れを理解するべくメモを取りたいと思っても、そうしないほうがよいこともあります。メモをすることで相手が緊張してしまうリスクがあるからです。あるいはちょっとした雑談から相談が始まり、物理的にメモを取りづらい状況もあり得ます。
そんなときでも、シンプルで網羅的な論点マップである4マスを頭に浮かべながら話を聴くことで、何を聞こう・聞かないでおこう、何を言おう・言わないでおこう、といった言葉の選択が容易になります。