「リアルタイム」で「他者と共に」考える
ファシリテーションとは、会議の司会進行や顧客へのヒアリングなど、他者と話し合いながら共に考えを深めたり、相手の思考を促す営みです。Solvent for 問題解決で見たように、仕事を問題解決とみなせば、ファシリテーションもある種の問題解決を促進しているといえます。
ただし、独りで紙や画面に向かって考えるのとは大きく違う点があります。それは場や相手がいるということ。会話はリアルタイムで進行しますから、相手の話を理解したうえで、次に何を聞くかを考えて質問し、結果として場が満足するような問題解決のストーリーを一緒に作り上げる必要があります。この「リアルタイム性」と「他者思考の理解」、そして「場への共有」がファシリテーションの難所です。
4マス原則による論点整理
図1は、わたしたちが顧客ヒアリングを行ったときのホワイトボードイメージを(一部編集して)再現したものです。新任の支店長が現場の責任者としてやっていけるように支援したいというテーマでした。
お客様には自由に話していただきます。こちらは4マスを念頭に置いて話を聞き、該当する(仮想の)マスにメモを取っていきます。埋まらないマスがあれば質問をします。マスが埋まってきたらストーリーをチェックし、不明瞭な点があればやはり質問をして補っていきます。
図の端に書いたような「未来×結果」といった論点は書きませんが、4マスの構成はシンプルでストーリーを容易に把握できます。あるとき、お客様から「相談している件とは別に、そのまとめ方を皆に教えてやってくれ」というリクエストをいただいたことが、こうして一つの方法論としてリリースするきっかけになりました。