Solvent for 問題解決では、課題を「問題解決のために設定する小目標」と定義しました。目標と現状との差異が問題ですから、問題解決の中に一段階小さな問題が含まれていることになります。
このモデルは実務的な問題解決の構造を反映しています(図1)。たとえば経営者が全社的な問題を分析して「より権限移譲しやすい組織構造にする」ことを含むいくつかの課題を設定したとします。
経営問題がいくつかの経営課題の解決によって解決できそうだと見なせた時点で、経営者の仕事としては一段落です。次はそれらの課題解決を担当者に依頼するでしょう。たとえば「より権限移譲しやすい組織構造にする」という経営課題を与えられた担当者にとっては、これは組織構造の問題です。
組織活動はこういった問題解決の階層的な連鎖です。複数の人間が一つの組織を運営していくためにはこのような分業は効率的ですが、鎖が伸びていくと「還元主義の落とし穴」とでも呼ぶべき副作用に注意する必要があります。
自分が取り組んでいる問題は、より大きな視点から見てどう位置付けられるのか。そして最終的にめざしているのはどういった状態か。そういった大きな構図と目の前の仕事のつながりが見失われると、縄張り主義であったり全体最適の無視につながります。
各担当者がこのように紙一枚レベルで仕事を俯瞰できる状態にすることは、組織として大きな目的に向かって活動していくための有効な手法です。